神奈川大学緊急講演会を聴講

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5/13夜に神奈川大学 横浜キャンパスで行われた講演会「2011年東日本大震災の被災概要 -被災地の現地調査からの報告-」を聴講した。10分ほど遅刻したため冒頭を聞き逃したが、神大工学部と経済学部、関東学院大学の教授陣がチームを組んで約2か月にわたる現地調査をした結果の中間報告が目的だったようだ。

講演者のご専門は、地震/耐震/都市防災工学、地域経済学、応用地形学、建築/地域/減災/復興計画となっており、それぞれの観点からの報告が非常に興味深かった。またKSVN(神奈川災害ボランティアネットワーク)からも副代表が講演され、ボランティアセンター設立の状況を説明された。全体として時間が押したため一部の説明が非常に駆け足になったのがもったいなかったが、いずれ公開講座などを通じて一般聴講できる機会も考えているとのこと。また、同内容で湘南ひらつかキャンパスでも講演会が予定されているので、興味がある方にはお勧めしたい。講演会資料は後日Webサイトで公開予定。(参照:http://www.kanagawa-u.ac.jp/events/2011/04/28/002987/

前半は、地震の波形や津波の発生状況などを他の大地震と比較した場合の特徴、5/12までの物理的な被害状況などが紹介された。後半、地形別に見た地震と津波の被害の分析、集落形成(分布)の特徴から見た被害の分析などが説明された。

特に印象に残ったのは、過去の甚大な津波災害の教訓がしっかりと伝承され防災教育や防災計画に活かされたケースと、そうでなかったケースがあったこと。いったんは集落ごと高所移転が行われたものの、やがて低い平地へと一部居住者が戻ってしまった場合もあり、高所と低地とで被害の明暗が分かれていた。また仙台平野にしても、沿岸地域は生産緑地としての利用が望ましいとされていた時期もあったのに、行政による規制緩和で宅地利用が進んだ経緯があったらしい(←この辺りは裏取りしてないが、素人なりに、平地というのは貴重だし宅地利用して地域経済を優先したくなるのは十分に想像できる)。今回の大震災で破壊された鉄道も、同じ場所に作り直すのではなく、改めて計画し直すべきだとのお話しもあった。

今回こそは、震災の教訓を活かした防災計画、防災施設の見直し、防災教育、安全と環境共生を目指そう、というのが今回のメッセージだと理解した。

本筋ではなく余談の部分だったが、担当する学生から「ボランティアに参加するのは就活に有利になるか」と相談を受けることがあるらしいが、それに対して「有利になる可能性もあるが、それよりも現場の専門知識をぜひ吸収してきてほしい」というような答えをしているそうだ。たしかに、大学生にとって就活というのは人生の一大事だし、特に今の経済状況ではいろいろ心配なのは理解できる。でも、今でないと得られない経験というのは絶対にある。学生さんには是非、行って見ておいてもらいたいと思う。

過去のブログから転記しました